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高濃度乳腺(デンスブレスト)

高濃度乳腺
(デンスブレスト)とは?

「高濃度乳腺」自体は
異常ではない

乳房は、乳腺と脂肪という2つの組織でできています。この中で、乳汁を作って出す組織が「乳腺」で、脂肪は乳腺を支える役割を担っています。
「高濃度乳腺」は、乳腺組織が沢山ある乳房のことです。高濃度乳腺そのものは病気ではありませんので、あまり心配する必要がありません。
しかし、マンモグラフィを受ける場合、高濃度乳腺だと乳房全体が白く映ってしまうことがあります。
マンモグラフィでは、脂肪は黒く透けて見えますが、乳腺組織は白く見えます。
そして、しこりや石灰化、構築の乱れなど、乳がんの兆候となる病変も白く見えます。
それゆえに、病変の早期発見が難しくなる可能性が上がってしまうのです。
反対に、脂肪が多い乳房の場合は、透けやすいので、小さな病変も見つけやすい傾向にあります。
また、一般的には「高濃度乳腺」と言われていますが、乳房の中の乳腺組織と脂肪組織の量によって、マンモグラフィの背景乳腺所見は「高濃度」「不均一高濃度」「散在性」「脂肪性」の4つに分類されています。この中で、高濃度と不均一高濃度が、高濃度乳腺と呼ばれています。

乳腺濃度の分類

高濃度

全体の10%を占めているタイプです。30~40代や閉経後のホルモン補充療法者に多く見られます。

不均一高濃度

全体の約50%を占めているタイプです。40~50代に多い傾向にあります。この年代は、乳がんの罹患者が多い年代ですので、慎重に検査を行う必要があります。

散在性

全体の30%を締めているタイプです。40~50代に多く、検査で異常が見つかりやすいタイプとも言えます。

脂肪性

全体の10%を占めているタイプです。60歳以上に多く、乳腺の大部分が脂肪に置き換わっているタイプです。このタイプも、検査で異常が発見されやすい傾向にあります。

「胸の大きさ」は
関係ありません

高濃度乳腺はあくまで1タイプの乳房であり、胸の大きさとは関係がありません。
乳房は上記4タイプに分かれています。

高濃度乳腺は
【乳がんのリスク】になる

乳腺密度が高い女性は、乳がんを見つけにくい傾向にあります。
それゆえに乳腺密度が高い女性は、マンモグラフィで「異常なし」の診断をもらっても、決して安心できない状態とも言えます。
また、乳腺密度が高いと、乳腺にできる乳がんのリスクもその分上昇してしまいます。
乳腺密度が高い女性は、乳がんになりやすく、かつその乳がんをマンモグラフィで発見しにくいという、二重の不利に直面しているのです。

①病変が見つけにくい

乳がんの兆候となるしこりや石灰化なども白く映るので、乳腺に隠れて見逃されやすいという問題があります。
しかし、高濃度乳腺だからといって、必ずしも乳がんが見つけにくいというわけではありません。実際にマンモグラフィを受けることで、早期発見できたというケースも存在しています。また、マンモグラフィと超音波検査(エコー)を組み合わせることで、より精度を高めることも可能です。

②がんリスク因子である

高濃度乳腺は、乳がんのリスクを少し高める要因にもなります。
乳腺の濃度は、年齢や授乳歴、ホルモンバランスなどによって変化します。高濃度乳腺そのものは異常ではなく、正常な範囲内の変化です。高濃度乳腺であっても、適切な検査とケアを続けていけば、過度に心配する必要はありません。

高濃度乳腺の症状や特徴

高濃度乳腺があるからといって、症状を自覚するわけではありません。しかし、生理前になると乳房の張りや痛みなど、月経前特有の症状が出ることもあります。

高濃度乳腺の原因

体質・年齢

日本人女性は欧米の女性よりも乳腺が多く、脂肪が少ない傾向にあります。そのため、高濃度乳房の割合も高くなります。また、若い女性も高濃度乳房になりやすい傾向にありますが、年をとると脂肪組織が増えて乳腺の割合が減っていきます。
日本では、40歳以上の女性の40%が高濃度乳房だと言われています。

脂肪量の変化

ホルモン補充療法や妊娠・授乳、ダイエットなどで体重が大きく変わると、乳腺の濃度も変動していきます。

遺伝

高濃度乳房が遺伝するかどうかは未だにはっきりと解明されていませんが、体質が遺伝することもあります。