乳首がかゆい原因
皮膚の乾燥・刺激
乾燥肌やアトピーの方は、気候や空調設備などによって肌が乾燥しやすくなります。特に乳首は、授乳後に唾液がついたままにしてしまうと、乾燥してかゆみがひどくなります。かきすぎることで、皮膚が切れて出血することもあります。
また、下着のサイズが合わないことで、乳首が擦れて傷つき、かゆみを起こすこともあります。
この場合は「強く洗いすぎない」「クリームなどで保湿する」などのケアをしましょう。
炎症・乾燥
乳首には皮脂を出す腺が沢山ありますが、何らかの理由によって、その皮脂分泌のバランスが乱れることもあります。その結果、炎症やかゆみが起こってしまうのです。
皮脂の分泌のバランスが乱れる理由は様々ですが、下着などの摩擦による刺激性接触皮膚炎や、アレルギー性接触皮膚炎などの可能性が考えられます。
外傷(授乳など)
妊娠によってホルモンの分泌量が変わると、皮膚が敏感になりやすくなります。また、妊娠後期に入ると母乳の分泌が始まるため、それによってかゆみが起こりやすくなります。
さらに、生まれたばかりの赤ちゃんは、おっぱいを飲む力加減がうまくコントロールできません。噛む力が強いことで、乳首に傷をつけてしまうこともあります。
この場合は、搾乳器や乳頭保護器を使って、乳首への負担を減らしていくことが有効です。
乳がんの初期症状
乳首がかゆい、ただれている場合、「乳房パジェット病」を発症している可能性も考えられます。乳房パジェット病とは、乳首にただれや腫れ、かさぶた、出血などが現れ、薬を塗ってもなかなか治らない難治性湿疹で発症する病気です。 「パジェット細胞」というがん細胞が増殖することで発症します。
ただ、この病気はとても稀で、ほとんどは片方の乳房にしか発生しません。しかし、稀に両方の乳房や男性の乳房にも発生することがあります。
この病気は、乳がんの中でも、「しこりができないタイプ」として分類されます。早期に発見して治療すれば、完治する可能性が高くなります。
ストレス
ホルモンバランスが乱れてしまうと、肌トラブルが起こりやすくなります(特に生理中は皮膚が荒れやすくなります)。
この場合は、食事内容や生活習慣の見直しが有効とされています。
感染症
乳首や乳房に細菌が侵入して感染症が起きると、かゆみや痛みなどが出やすくなります。
特に、乳首が凹んでいる方は、感染しやすい傾向にあります。乳頭から細菌が乳管内に入り込み化膿して乳輪下に膿がたまってしまい、痛みや発熱を起こすこともあります。
乳首がかゆい時の
治療方法
痒みの原因が
皮膚にある時
皮膚の炎症が原因でかゆい場合は、ステロイドの塗り薬が有効なことがあります。炎症がひどい場合は、ステロイドや抗ヒスタミンの飲み薬も必要になることがあります。
また、かゆみを引き起こすものを避けることも重要です。
痒みの原因が
乳がんの時
乳房パジェット病によって乳首がかゆい場合は、乳がんの治療を行います。
乳がんの治療は、手術や放射線といった局所療法と、薬物でがん細胞に働きかける全身療法があります。
乳頭が痛い原因
外部からの刺激・乾燥
乳首は皮膚が薄い部分ですので、摩擦や蒸れで傷つきやすくなります。
乳首が摩擦で痛む場合は乳首への刺激が少ない、シルクやコットンなどが使用されている下着・衣類を着るように心がけましょう。また、下着や衣類がきつすぎると、細菌やカビが繁殖しやすくなります。ご自身の体型にあったものを身に付けましょう。
ホルモンの分泌
生理前・妊娠中・授乳中
プロゲステロンは、乳腺を一時的に発達させるホルモンです。このプロゲステロンは、排卵期から生理が始まるまでの間に多く分泌されます。実際に「生理前になると乳首が痛くなる」と悩む方も少なくありません。
しかし、この乳首の痛みは、更年期にも起こることもあります。
更年期
更年期になると卵巣の働きが衰えるため、エストロゲンの分泌量が減り、プロゲステロンが増加します。プロゲステロンが増えることで乳腺や血管が刺激され、乳首がピリピリと痛くなることがあります。
皮膚の症状
皮脂欠乏性湿疹
乳首にはアポクリン汗腺や皮脂腺が多くあり、皮脂が沢山分泌されます。皮脂は乳首の皮膚を守っていますが、皮脂が少なくなると乳首が乾燥してしまいます。このように、皮脂が減ってしまう湿疹を皮脂欠乏性湿疹と言います。
発症すると、かゆみや痛みの伴った湿疹、びらんが起こりやすくなります。
乳房の病気
乳がん
乳がんは、乳腺や乳管の中に発生するがんです。女性に多く見られ、男性が発症することは滅多にありません(確率1%)。
がんが広がって他の臓器に影響を及ぼすと、命を落とす恐れがあります。しかし、早期に見つけて治療を始めていけば、完治を見込めるがんです。乳房に変化があると感じた際は、迷わずに当院へご相談ください。
乳腺炎
乳汁を作る乳腺が、炎症を起こす病気です。乳房が痛くて赤く腫れたり、熱が出たりします。
乳腺炎には、乳頭の傷から細菌が入る化膿性乳腺炎と、乳汁が詰まって炎症を起こすうっ滞性乳腺炎があります。化膿性乳腺炎は薬物療法で、うっ滞性乳腺炎は、乳房のマッサージで治ることがあります。重症化すると、乳房に膿が溜まって手術を余儀なくされることもありますので、乳腺炎の疑いがあれば、すぐに当院へご相談ください。
乳首が痛い時の
受診の目安
乳首が痛い場合は、下着や衣類の摩擦によって起こっているかもしれません。
しかし、乳がんなどの病気のサインとして起こっているケースもあります。
乳首の痛みが続く時や、乳首や乳房に変化がある際は、早めに専門家に相談しましょう。
皮膚トラブルがある場合は皮膚科へ、乳房にも何らかの症状がある場合は、当院へご相談ください。