- 授乳後、乳房のしこりや腫れが起こる
- 乳房の熱感
- ズキズキとした痛み
- 黄色っぽい母乳が出る
- 発熱(38℃以上)など
乳腺炎の症状
次のような症状がある場合、乳腺炎の可能性が疑われます。
こんな症状は
乳腺炎になりかけ…?
(初期症状)
- 乳房が張っている
- 乳房の一部がゴツゴツしている
- 乳房を押すと痛む
乳腺炎とは
乳腺炎は、乳房の中の「乳腺」に炎症が起こる病気です。
授乳期になりやすく、特に産後から2〜3週間後に起こる傾向にあります。実際に、授乳中の女性の2%〜33%がかかります。
急性の乳腺炎
産後に母乳が詰まって炎症を起こす「うっ滞性乳腺炎」と、乳管から細菌が侵入して感染してしまう「急性化膿性乳腺炎」があります。
主な症状としては、乳房の張りや痛み、熱感、倦怠感、発熱などが挙げられます。
慢性の乳腺炎
慢性の乳腺炎は、授乳したことがない方でも起こり得る乳腺炎です。乳腺の中に膿が溜まることで発症するケースが多いです。
主な症状としては、悪寒や乳房の腫れ、しこり、リンパ節の腫れなどが挙げられますが、症状が軽いので見逃されやすい傾向にあります。
乳房に異常があった際は放置せずに相談しましょう。
原因・なりやすい人
乳腺炎の原因は以下の通りです。
母乳のうっ滞
授乳期に母乳が乳腺に溜まり続けることです。
母乳は細菌が繁殖しやすいため、乳腺に炎症が起きやすくなります。母乳をできるだけうっ滞させず、体から排出させることが重要です。
細菌感染
細菌が何らかの拍子に乳腺に入って、繁殖することで起こります。増殖した細菌が原因で炎症が起きます。
原因となる細菌としては、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が挙げられます。
乳頭が傷つくと、細菌感染しやすくなります。
乳腺炎は病院に行くべき?
病院に行くタイミングは?
以下の症状が見られた際は、速やかに病院へ相談してください。
- 痛みがひどい
- 熱が高い(38℃以上ある、寒気や震えもある)
- 乳房が赤く腫れ上がっている
- 腕の下のリンパが腫れている
- 乳首から血の混じった分泌液が出ている
- 痛みがひどくて授乳できない
- 乳腺炎を再発した
自力で治せる?
軽めの乳腺炎でしたら、バランスの整った食習慣や休息・睡眠などで、自然と改善できる可能性があります。また、乳房を温めたりマッサージしたりする方法もお勧めできます。
また、赤ちゃんが母乳を飲みきれなかった場合は搾乳をして、乳腺内に母乳が溜まったままにしないようにすることも大切です。
抗生剤や解熱鎮痛剤などを処方することもありますが、重度の乳腺炎だった場合は、手術で膿を出していきます。容態によっては授乳を止める必要が出てくることもあるため、症状があった際は、早めに病院で相談されることをお勧めします。
乳腺炎の治し方
乳腺炎は、乳管の開きが不十分だったり、赤ちゃんの飲み方や授乳間隔などに問題があったりすることで発症することがあります。治療では、乳房マッサージや搾乳で母乳を出し切ったり、乳房を冷やして母乳の分泌を抑えたりする方法が行われることがあります。
化膿性乳腺炎の場合は、細菌感染によって起こっているため、抗生剤や解熱鎮痛剤などを使用して治します。乳腺内に膿が溜まっている場合は、飲み薬の服用だけでなく、針を刺したり切開したりして膿を排出させる処置が必要になることもあります。炎症やしこりが改善しない場合は、しこりごと切除する場合があります。
乳腺炎の予防と
対策方法
乳腺炎は、毎日のケアや生活習慣の見直しなどで改善できます。
こまめに授乳・
搾乳する
母乳が残っていると感じた際は、搾乳して出し切りましょう。同じ角度や姿勢で授乳すると、乳腺炎が悪くなることもあります。
熱を冷やす
乳房にしこりができた際は、冷やすだけでも熱感や張りが軽減できます。保冷剤やガーゼなどで優しく冷やしましょう。冷やしすぎると母乳の出が悪くなるので、気を付けてください。
マッサージをする
マッサージは乳管をほぐして、母乳を出しやすくするために行います。乳房や乳頭のマッサージをすると、授乳がスムーズになり、乳頭の傷などのトラブルも予防できます。
なお妊娠中のマッサージは、医師に相談してから始めましょう。帝王切開の予定がある方は、マッサージを行わないよう注意してください。
マッサージの方法は、「乳腺炎ケアガイドライン」に記載されています。ご自身でマッサージをする際は、ガイドラインに沿ってやりましょう。
乳頭を清潔にする
乳頭が汚れると、細菌が繁殖して感染する恐れがあります。乳頭にキズができると細菌が侵入しやすくなります。細菌の侵入を防ぐために、下着や母乳パッドも定期的に替えて、乳首の周りを清潔にしましょう。
食生活に気を付ける
母乳は血液から作られるので、血液がドロドロになると乳腺も詰まりやすくなります。乳腺を詰まらせないためにも、野菜や豆類、海藻類や発酵食品などをバランスよく食べましょう。
また、メディアなどでは「脂肪分の多いものやお菓子を食べると乳腺炎になる」という情報が広がっていますが、実は間違いです。食べ物が乳腺炎の原因になることはありません。
大切なのは、偏らない食事をすることです。授乳中は、妊娠前よりも350kcal〜450kcal多くエネルギーが必要になります。
さらに、母親の食習慣は、母乳の成分に影響を与えます。特に、母乳に含まれている脂肪酸やたんぱく質、ミネラルなどは、食習慣によって左右される栄養素です。鉄・ビタミンC・葉酸などの栄養素は赤ちゃんの成長や免疫力にも必要です。授乳中は、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。