乳房が痛い原因
乳房痛は、女性にいつでも起こり得る症状です。
乳房の痛みの原因は、色々あります。授乳以外のものとしては、外傷や感染、皮膚炎、腫瘍などが挙げられます。また、アルコールやそれによる肝障害、循環器系の疾患や神経痛などによって、乳房が痛いと感じることがあります。
痛みのほとんどはホルモンによって起こります。女性は月経周期に伴って、ホルモンバランスが変化し続けます。実際に、女性の50%以上が月経と一緒に乳房痛を感じるとも報告されていますし、あまり心配する症状ではありません。
しかし、「乳がんの可能性が全くない」とも言い切れないので、乳がん検診は定期的に受けましょう。そして普段から、しこりや分泌物がないかをチェックしてください。「しこりがある」「分泌液が出た」「皮ふのひきつれがある」などの症状がありましたら、専門医へ相談してください。
乳房痛は大きく2種類
乳房痛は、①周期性乳房痛、②非周期性乳房痛に分けられます。
周期性乳房痛
月経の黄体期から現れ、月経が始まる日まで、乳房の痛みが続く(またはひどくなる)タイプの乳房痛です。痛みは7日以上続き、睡眠や社会生活、性生活に悪影響を及ぼします。排卵時に痛む場合もあります。
非周期性乳房痛
月経と関係なく起こる乳房痛です。閉経後に多く見られ、周期性乳房痛よりも症例は少ないとされています。痛みは多岐にわたり、一部分だけ痛むこともあれば、乳房全体が痛むケースもあります。外傷や炎症など、はっきりとした原因がない場合は、原因を見つけるのが難しくなります。しかし、近年では、ホルモンの変化が原因になるのではないかとも考えられています。
また、帯状疱疹、肋間神経痛などで起こるケースもあります。
乳房の片方だけ痛い…は病気の可能性
ホルモンの変動による乳房痛は、左右の乳房が痛くなることがほとんどです。しかし、片方の乳房の一部が長く痛む場合は、乳腺に何か起きている可能性があります。
他にも、いつもと違う症状も見られた際は、当院に相談するようにしましょう。
乳房痛を引き起こす病気
乳房痛の原因は、乳がん以外がほとんどです。 乳房や周辺の病気について説明します。
乳腺症
乳腺のしこりや分泌物が出る良性の病気です。30~40代の女性によく起こり、ホルモンバランスの影響で起こるとされています。カフェインやニコチン、脂肪などの摂取を控えることで、症状が落ち着くこともあります。
乳腺炎
乳腺に炎症が起こる病気です。「急性乳腺炎」と「慢性乳腺炎」に分けられます。また急性乳腺炎の中でもさらに、授乳中に母乳が溜まったり乳管の開きが不十分立ったりすることで起こる「うっ滞性乳腺炎」と、乳頭から細菌が侵入する「化膿性乳腺炎」などがあります。どの乳腺炎でも、乳房痛をはじめ、乳房のしこりや腫れ、赤み、熱感などの症状が現れます。
葉状腫瘍
乳房にできる腫瘍の中でも珍しいもので、その割合はたったの1%とされています。良性と境界病変、悪性が混ざっています。その中でも25%は悪性です。
針生検を行っても線維腺腫と見分けるのが難しいこともあるため、腫瘍が一気に大きくなった場合は、手術が選択されます。
皮膚の病気
皮膚の良性腫瘍である粉瘤(ふんりゅう:アテノーム)によって、乳房が赤く腫れ上がることもあります。
肋軟骨炎・肩こり
肋軟骨炎や肩こりによって、胸の周りが痛むこともあります。特に、脇の下や胸の外側が鋭く痛んだ後、痛みが持続している場合は、肩こりや肋間神経痛などの可能性があります。
また、肋軟骨炎は40代以上の女性に多くみられる病気です。発症すると、内側の肋骨と軟骨の継ぎ目が痛むようになります。
乳房が痛いときは
何科へ行く?対処法は?
乳房の痛みは、月経前や授乳期でしたら誰にでも起こり得ます。
しかし、痛みが常に続く、しこりや血の混じった分泌液が出る、発熱や呼吸困難などがある、怪我などで痛くなったといった症状が見られる場合は、次の病院に相談しましょう。
- 乳房痛以外の乳房の症状も伴っている場合:乳腺外科
- 怪我による乳房痛:整形外科
- 呼吸器症状や発熱などを伴っている場合:内科
- 授乳中の方:産婦人科